不特定多数の人が利用する「公衆浴場」では、入浴者から供給される有機物を栄養源として微生物が配管等に定着して増殖するとともに、バイオフィルムと呼ばれる生物膜によって殺菌剤から保護されるため、浴槽水を消毒するだけでは微生物の繁殖は防げません。また、定期的に浴槽内や配管の清掃や消毒を実施していたとしても、衛生的な水質が維持管理できているかの判断がしづらいため、水質検査による確認が必要となります。
厚生労働省の「公衆浴場における衛生管理要領等について」及び「公衆浴場における水質基準等に関する指針」では、利用水を「原湯(浴槽に直接入れる温水)」、「原水(浴槽に直接入れる水)」、「上り用湯(湯栓から出る温水)」、「上り用水(水栓から出る水)」、「浴槽水」に区分した上で、水質基準や検査方法を定めています。
公衆浴場法の対象施設とは
一般公衆浴場
- 銭湯、老人福祉センター 等
その他公衆浴場
- ヘルスセンター・健康ランド、スポーツ施設に併設の浴場
- 工場などに設けられた福利厚生を目的とした浴場
- サウナ、個室付き公衆浴場
- その他のもの
検査項目・基準値
番号 | 検査項目 | 基準値 | 原湯・原水・上がり用湯・上がり用水検査 | 浴槽水検査 | レジオネラ属菌検査 |
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年1回以上 6項目 |
※ 4項目 |
※ 1項目 |
|||
1 | 色度 | 5 度以下であること | ○ | ||
2 | 濁度 | 2 度以下であること | ○ | ||
5 度以下であること | ○ | ||||
3 | pH値 | 5.8 度以上 8.6 度以下であること | ○ | ||
4 | 過マンガン酸カリウム消費量 | 10mg/L 以下であること | ○ | ||
25mg/L 以下であること | ○ | ||||
有機物等(TOCの量)※2 | 3mg/L 以下であること | ○ | |||
8mg/L 以下であること | ○ | ||||
5 | 大腸菌群 | 50mL 中に検出されないこと | |||
1 個/mL以下であること | ○ | ||||
大腸菌 ※2 | 50mL 中に検出されないこと | ○ | |||
6 | レジオネラ属菌 | 検出されないこと(10cfu/100mL 未満) | ○ | ○ | ○ |
検査に要する標準的な期間
原湯・原水等検査
- 6 項目セット:7〜10日程度
浴槽水検査
- 4 項目セット:7〜10日程度
レジオネラ属菌検査
- 1 項目:3〜10 日程度
※ 検査の混み具合や検査量等によって検査期間に変更が生ずることもありますので、予めご了承ください。
検査料金
原湯・原水等検査
- 6 項目セット:
13,200 円(税抜き 12,000 円)
浴槽水検査
- 4 項目セット:
12,100 円(税抜き 11,000 円)
レジオネラ属菌検査
- 1 項目:
9,900円(税抜き 9,000 円)